1つの補題

前回は第二種Stirling数を定義しました。
negelon.hatenablog.com
今回は次記事で必要になる補題を証明します。

に関する補題

Lemma.22 を満たす自然数 に対して,
\begin{align*}
A_{2k, j} \equiv
\begin{cases}
-1\ \ \ (mod.\ j+1) & (j+1 : prime\ \ and\ \ j\ |\ 2k),\\
0\ \ \ (mod.\ j+1) & (otherwise)
\end{cases}
\end{align*}

(証明)
まず が素数であり, かつ のときに示す. のときFermatの小定理より, である自然数 に対して,
\begin{align*}
l^{j} \equiv 1\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*}であり, なので,
\begin{align*}
l^{2k} \equiv 1\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*}となる. このとき が偶数であることに注意すると, Prop.4 より,
\begin{align*}
A_{2k, j} &= (-1)^{j}\sum_{l=1}^{j}(-1)^{l}\dbinom{j}{l}l^{2k}\\
&\equiv (-1)^{j}\sum_{l=1}^{j}(-1)^{l}\dbinom{j}{l}\ \ \ (mod.\ j+1)\\
&= (-1)^{j}\sum_{l=0}^{j}(-1)^{l}\dbinom{j}{l}-1\\
&= -1
\end{align*}である. また のときは,
\begin{align*}
A_{2k, 1} &= (-1)^{1}\dbinom{1}{1}1^{2k} \\
&= -1\\
&\equiv -1\ \ \ (mod.\ j+1).
\end{align*}従って, が素数であり, かつ のときは成り立つ. 次に, が素数であり, かつ のときに示す. 今 としても一般性を失わない. まずFermatの小定理より, に対して
\begin{align*}
l^{2k+j} \equiv l^{2k}\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*}であり, より,
\begin{align*}
l^{2k} \equiv l^{2k-j}\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*} である. これを繰り返すことによって,
\begin{align*}
A_{2k, j} \equiv A_{2k-j, j} \equiv A_{2k-2j, j} \equiv \cdots \equiv A_{2k-nj, j}\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*}
となることが分かる. 今, とおくと, より,
\begin{align*}
A_{2k, j} \equiv A_{2k-j, j} \equiv A_{2k-2j, j} \equiv \cdots \equiv A_{2k-\rho j, j} \equiv 0\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*}となって成立する. 最後に が合成数のときに示す. のときは であることと, Prop.20 より,
\begin{align*}
A_{2k, j} \equiv 0\ \ \ (mod.\ j+1)
\end{align*}を得る. のときは,
\begin{align*}
A_{2k, 3} &= 3 - 3 \cdot 2^{2k} + 3^{2k}\\
&= 3(3^{2k-1}+1) - 3 \cdot 2^{2k}\\
&\equiv 0\ \ \ (mod.\ 4)
\end{align*}となる. 従ってこの場合も成立する.■